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2002-08

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第3回   この頃のブルーグラス的オモシロ本/2002年8月21日号

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●この頃の谷五郎は物書屋?
谷五郎著『谷五郎の笑SHOWタイム』が発行   
された。音楽ファンに間違いないようにいう
と、これは本であってCDアルバムではない。
読むものでどこからも音や音らしきものは出
て来ない。一応仕掛けは外見上どこにもない。
本屋に並んでも谷五郎を知る人以外から見れ
ば、目立たないフツーの新刊本である。まし
て関西地域以外では谷五郎を知らない人が多
いので、果たしてどれだけ売れるんだろうか
と心配になってしまう。外見上は。
とまあファンならではの取越し苦労的にドキ   
ドキしながら読んでいくと、これがなんと面
白いのだ。推薦文を書き自ら本のタスキノ顔
を出して販促に一役買っている桂 三枝師匠
も「ほかの人はどうか分からないが、私には
いっきに読んだ面白い本だった」と。
さすがに谷五郎である。外見こそ何の変哲も
ないが、仕掛けは中身にあった。まるでゴロ
ーショーをバックに歌う『高校三年生』のお
かしくて面白い生ステージを見ているように、
ショートストーリーの展開が次から次へと待
ったなしで続くのだ。文章のライヴ演奏的な
臨場感といえるような簡潔な言葉と、物語の
スピード感が読んでいて何とも気持ちいい。
書き出しの「お父さんが死んでるみたいやね
ん」では谷五郎とお母さん、谷五郎とお医者
さん、お葬式の顛末の中での改宗騒ぎなど等、
まさにブルーグラス・プレイヤーの面目躍如
といった軽快感が暗さを吹き飛ばし、興味深
く読ませてくれた。
谷五郎は物を書ける人なのだ。
●必殺プロレス文体
少し太ったと文中に書いてあったが、毎日元
気ガンガン、ノリノリ人生イテマエー的拍力
が行間からにじみ出ている。
特にお医者さんとのやりとりのくだりはおか
しくて父の死という重大事が起きているとは
思えない。少し本文を抜粋すると. . . . .

「夜分にすんません、親父が死んでるみたい
なんです。すぐきてもらえますか」
「わかりました」
そして、医者がくるのを待つ。ピンポーン。
きた!時計を見る。朝の7時だった。
「先生、死んでるみたいでしょ」
「すっかり死んでます」
なんと先生、電話をもらった後、そのまま寝
てしまっていたのだった。
そら、すっかり死ぬわ。

出版社は「谷さんのステージは最高に面白い
から、そのノリで本を書きませんか」と言い
説得したというが、その通りのものが出来上
がったのではないだろうか。
小学校時代とその時代の強烈な両親、中学校
での音楽とプロレス、高校時代の勉強とナタ
ーシャ・セヴンとの出会い、大学時代はブル
ーグラス三昧と恋の花。そして農協勤務~ラ
ジオのパーソナリティーに転身までを40編の
ショートストーリーでまとめている。
軽快でやさしくペーソスに溢れた谷五郎の文
章に、あえて「必殺プロレス文体」なるネー
ミングを与えよう。
●プロレスショーと宝塚BGフェス
谷五郎とプロレスの関係はというと、これが
またアマチュアの域を出た知識と実戦の数が
凄い。特に全日本プロレス全盛期のTV中継の
展開などは、大学ノート数10冊にビッシリ書
き込まれたうえ、新聞雑誌の切り抜き写真な
どが随所に貼付けられて、そこはもう万華鏡
の谷五郎ワンダーランドになっていた。
74~75年頃の宝塚BGフェスへ参加したファ
ンだったら見て記憶されてると思うが、ゴロ
ーショーの余興にプロレスをやったことがあ
る。私などは音楽もプロレスも好きなタイプ
だから、思わぬ出し物に相当興奮したことを
今でも鮮やかに覚えている。相手の覆面レス
ラー(利 健華=BG45) の乱入という設定の
中、谷五郎が敬愛するジャイアント馬場にな
りきったワザを連発する姿を見れば、ただの
プロレスファンではないどころか、そのまま
全日のマットに立つのではないかと錯角して
しまう。必殺16文キックが相手顔面に炸裂!
なーんてね。
ブルーグラス音楽とプロレスを合体させたゴ
ローショーの輝きは永遠である。
谷五郎49才。この処女作は彼のレパートリー
からなぞると、軽快なすっきり読みごたえの
『高校三年生』であろうか。
●BG専門店オンザボーダー
さて私がこの本を手に入れたのは、今年5月
25・26日と開かれた『朝霧ブルーグラス・フ
ェスティヴァル』に出店していた、BGの専門
店オンザボーダーのショーケースだった。
毎年、東京近郊のBGフェスへ行くと必ず出店
して人気のオンザボーダーを覗くのはかなり
の楽しみで、CD・ヴィデオ・グッズ・弦・カ
ポ・その他注目の品々がドーッと並べられて
好き者どもを待ち受けてる、そんなゴキゲン
なショップなのだ。
この時もテント設営などを手伝ったあと早速
ステージそばの店へと行き、あれこれ見てた
ら「エッ」てな驚きでこの本を発見したのだ
った。ジーン・パーソンズばりのヒゲをたく
わえた北農店主が「谷さんの本だよ」と言っ
て渡してくれた。フェスで単行本が買えると
は思いもしなかったけど、これぞ「BGのワ」
かなーんて気持ちのまま、ジョン・コーワン
の新しいソロのCDアルバムといっしょに買い
求めて車に戻り、ジョンのCDを少し大きめに
ボリュームをセットしてこの本をめくった。
つかの間のユートピアであった。
●迷曲?いえいえ大名曲『高校三年生』誕生
谷五郎が神戸大のブルーグラス同好会に入っ
た1972年、たしか宝塚ブルーグラス・フェス
ティヴァルは始まっていたように思うが、そ
れは三田市内の川辺に建つお寺の境内で開か
れた第一回目だったと記憶している。
この年、バンド『ブルーグラス45』は前年に
続き二度目のアメリカ遠征を果たし、やはり
関西のBGバンド『イッツ・ア・クライング・
タイム』も本場のアメリカを旅した。
いずれも遊びに行った訳ではなく、ご存知の
通りプロの日本人ブルーグラスバンドとして
出かけ、当然にギャラをいただきながらパフ
ォーマンスをアメリカ各地でいたしたのだっ
た。演奏が上手にお出来になれば拍手とお金
をいただき、お下手の時はショットガンでど
やされるなど苦楽こもごもという状況ではあ
っても、概ねきちんと仕事をこなし暖かく受
け入れてくれたと記憶している。
日本のBGシーンも、70年代に入ってから若
い世代の台頭によって一気に花が開くように
活発に展開していくのだった。
71年秋の日比谷フェス、72年夏の宝塚フェ
ス、同年秋の日比谷フェス、73年12月ジュ
ーンアップル創刊...エトセトラ。
ナターシャ・セブンも活動を始めていた。
谷五郎はそんな環境の中、国立神戸大でブル
ーグラスを始め、マンドリンとビル・モンロ
ーに宣戦布告したが、来る日も来る日もやら
れっぱなし打開策ゼロ状態の日々が続いてい
た。マンドリンを弾け!と言ったイワシ目の
先輩の理不尽を呪うが一向に上達はしなかっ
たという。
しかし、やがて持って生まれた変則ワザに突
然開眼する。自分の愛唱歌をブルーグラスで
やったらおもしろいんじゃないかと気付き、
ゴローショー永遠のレパートリー『高校三年
生』が誕生したのだった。
●日本BG界最高のスター
正調ブルーグラスから見れば明らかな変調で
はあったが、初期の宝塚BGフェスでは圧倒的
な人気を獲得してその後の谷五郎とゴローシ
ョーを決定付けた。毎年ゴローショー見たさ
に学校を休む学生が相次ぎ、社会問題化した。
「エッ、夏休み中だって?」
それは失礼しました。
まあこんな冗談が出ても不思議ではないほど
の人気が、あった。
いわば宝塚フェスが生んだ日本最高のBGエン
ターテイナーでスターミュージシャンなのだ。
●思い出の第一回目宝塚フェス
第一回目の宝塚フェスがお寺の境内で開かれ
たと書いたが、30年経った今振り返ってもユ
ニークな場所だった。お坊さんはどこにいら
っしゃったのか姿を見ることがなかったけど、
よくもまあやったものだ、境内その他を貸し
てくれたものだと不思議でならなかった。
主催は勿論B.O.M.サービスで、輸入レコード
の通信販売会社として発足したばかりだった。
彼らがこれも新しく宗教でも起こしたのか、
渡辺三郎が袈裟を着てバンジョー弾くのかな
んて冗談が出てもおかしくないくらいユニー
クなフェス会場だった。
この時の私の記憶はほとんどとんでいて、そ
れはアルコールによるものだが、雨のしたた
り降るなか傘もささず、友人の天才フィドラ
ー寥学誠と酔ってヤジを飛ばしてばかりとい
う部分しか覚えてない。
本来なら取材の一つでもいたさないといけな
い立場なのにお酒を飲んでしまった自分を忘
れ、また飲んでしまう。弱いですねー。これ
って今になっても変わらないままになってる。
オー、恐ワ。
もう一つ覚えている場面がある。名前は忘れ
てしまったが、確か京都から来てた三人組の
オールドタイム・バンドの飲みっぷりの良さ
といったら見てて震えがくるほどだった。ネ
グラがお寺の講堂だったので、その一角で車
座になったお三方が朝まで、グーッと飲んで
はほんの少し楽器に触り、またググーッグイ
グイーッと休む間もなくお酒をあおっていた。
その中の一人は途中仰向きなってイビキをか
いていたら、そのままの状態で噴水のように
ゲロを吐き、顔中ゲロ状態のままむっくり起
き上がってまたグラスに口を付けて飲み出す
というスーパーな場面である。
当人の顔は忘れたけれど、この場面だけは忘
れられない。

さて「抱腹絶倒!語り尽くせぬおっさんのけ
ったいな毎日」とサブタイトルが付けられた
この本をどう読むか。
結構というかかなりシャイな男の新しい一面
として、あの25年前のプロレスをやったゴロ
ーショーほどではないにしても、多才ぶりを
いかんなく発揮しておもしろいのである。
こうなれば次回作はもっと過激な内容にして
欲しい。金網チェーンデスマッチのように。


谷五郎の笑タイム
定価(本体1,429円+税)
著 者 谷 五郎
発行者 佐々木道博
発行所 紫翠会出版
協 力 (有)ピックワン
全国書店にて絶賛発売中
                佐々木 仁



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    Rocking' Chair
    収録曲
    1.Country blues
    2.Wall ofTime
    3.Banks of The Ohio
    4. Any Old Time
    5. Crazy
    6. I’m Coming Back But I Don’tKnow When
    7. I’ll See You in My Dreams
    8. Put Me On The Trail to Carolina
    9. No9 Train
    10. Warp your Troubles In Dreams
    11. Lullaby In Ragtime
    12. Rockin’ Chair
    12. When I’m Gone

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    Take Me In Your Lifeboat
    /The Blueside of Lonesome


    1.How Mountain Girls Can Love
    2.Blue Ridge Cabin Home
    3.Kentucky Waltz
    4.Let Him Go On Mama
    5.It's Mighty Dark To Travel
    6.Take Me In Your Lifeboat
    7.My Oklahoma
    メンバー:
    Yoshie Sakamoto / Vocal
    Masuo Sasabe / Guitar, Vocal
    Yasuhisa Kato / Mandolin, Vocal
    Ryukichi Hayakawa / Banjo, Vocal
    Hiromu Teshima / Fiddle, Vocal
    Akihide Teshima / Bass

    制作:The Blueside ob Lonesome
    技術:Ryukichi Hayakawa, Hiromu Teshima
    デザイン&絵:Ashura Benimaru Itoh

    リルコミの紹介
    ----------
    130320IMG.jpg
    SOMEDAY/Yoshie Sakamoto
    1. My Shoes Keep Walking Back To You
    2. Someday
    3. Till A Tear Becomes A Rose
    4. Here Comes My Baby Back Again
    5. If My Heart Had Windows
    6. Blue Kentucky Girl
    7. I'll Take Care Of You
    8. You Take Me For Granted
    9. Under Your Spell Again
    10. In The Garden
    11. You Ain't Woman Enough
    12. We Must Have Been Out Of Our Mind(Duet with Takaaki Sakamoto)
    13. We'll Meet Again

    CDの購入はメールでこちらへMAIL
    1枚2,500円+送料

    坂本愛江の HP


    ----------
    IT'S A CRYING TIME


    Banjo-Eiichi Shimizu
    Guitar-SatoshiYamaguchi
    Mandolin-Kazuyoshi Ohnishi
    Bass-Akira Katsumi
    Fiddle-Morishige & Takada
    売価 ¥1980
    お問い合せ
    ビーオーエムサービス
    ●解説のリルコミ
    「IT'S A CRYING TIME」CDで復活!リルコミだあ

    ----------
    A New Peace Within / LEONA 111022.jpg

    1. A New Peace Within
    2. International Date Line
    3. Little Cabin Home on the Hill
    4. Endless Summer
    5. Close By
    6. Roly Poly
    7. Cherokee Shuffle
    8. Life's Inspiration
    9. Gypsy Spin
    10. Shade's of Blue
    11. Nobody's Love is Like Mine
    12. Soldier's Joy
    ●解説のリルコミ
    本日は臨時号です!リルコミだあ
    オフィシャルHP
    ----------
    「Hello, Old Friend」 cd_tq1.gif

    Tequila Circuit/Hello, Old Friend
    定価¥2,500
    ●CDのHP
    ●解説のリルコミ
    /テキーラ・サーキットのnew CDだよのリルコミで~す

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