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2004-07

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レポート・国本武春と「九州バカおも旅行」 /2004年7月24日号

今回は去年の7月の終わりに、浪曲師としてあるい
はミュージカル舞台俳優としてさらに只今アメリカ
へブルーグラスのお勉強に行ってる最中という正に
時の人、国本武春と「九州バカおも旅行」をしたと
きのレポートをお届けします。題して「九州ふっく
らツアー」。同行したのは東京のバディーズ、同じ
く東京夢弦堂の主人西貝清、北九州のエルビス・グ
ラス、宅配ピッザ大手のビッグベアーズのつわもの
社員(ハマグラー)など。ちょうど1年前に書いた
レポートをお楽しみください。


*イントロ

 7月24日から始まった「九州ふっくらツアー」
も無事、27日をもって終わった。車で全行程を通
した国本・中村組も道中何とか無事に東京に帰り
ついた。「おれのナビがええがら無事だったべ」
と国本がいえば、「ちがうべ~、おれの高い運転
技術だ~」と中村がやり返し、パリダカで勝負す
るのかと周りを興奮させてくれたが、そのまま何
もなくそれぞれの仕事に戻っていった。
 それにしても車6台をつらねた大ツアーだった。
北九州市小倉の北九州パレスで開かれた『国本武
春独演会』を皮切りに、翌日は国東半島の姫島で
打上げ、つまり宴会ですね。そして飯田高原の大
分ブルーグラス・フェスティヴァルへ乱入。フェ
スではさんざん大騒ぎのあと、当局の手配が回ら
ないうちに超スピードで福岡空港へと戻った。
 準備に4ヶ月、全行程4日間の九州を真横に横
断したミュージック+食い道楽ツアーとなった。
 参加者は東京から8名。うち今回の主役V.I.P.
国本武春と中村信吾は楽器アンプなど荷物が多く、
トヨタBb車での移動が決定。飛行機移動の私たち
よりも1日早い23日午前に東京出発となった。一
路北九州まで1,300キロ、プラスアルファ数百キ
ロのオンザロードだ。


*美味しいものは独占したらいけんて

 ちなみに今回初登場の中村信吾は、プロのギタ
リスト。松田聖子、トワエモア、その他スタジオ
などで活躍中。「作曲もする」よとにっこり。
 先日、時山フェスに初出演した国本とともにス
テージに立ち、ブルーグラス界にデビューした。 
 他に長野市から1名、仙台市と松江市からそれ
ぞれ1名ずつ合計3名、合計11名が北九州以外か
らの参加メンバー。P7260033(2)s.jpg
 これに、北九州市に拠点を置く神出鬼没の秘密
倶楽部「ハマグラ-」の十数名が加わった24~25
名が、ツアーメンバーとなった。
 このメンバーを取りまとめるのはアウトドア趣
味の粋人、エルビス吉川である。地方公務員のか
たわら、ブルーグラスバンド「メンフィス」のリ
ーダーとして大活躍中。他にご存知、エルビス・
プレスリーに成り変わってホテルやコンサート、
ライブハウスなどを飛び回り、北九州音楽界にそ
の名も轟くエルビス吉川その人である。

 地方公務員のかたわらといったが、ある日など
は職場で海釣り(うなぎ)の仕掛けを朝から作っ
ていて「今日はとても忙しい」といっていた。聞
けば「うん、館長といって職場で一番偉い人の命
令なんだ」という。不思議な職場である。 
 彼曰く「喜びや楽しみ、美味しさは一人で独占
したらイケンて」が信条。


*国本武春独演会 
 
 24日、スタートは何といっても「国本武春独演
会」だ。あぶらの乗切った浪曲界随一のうなりが
小倉に炸裂、ファンを山のように作れるか。
 楽屋に落ちつき三味線を組立てながら、「目い
っぱい行くよ」と国本の気合も上々だ。
 約三年前、実は「寿ブラザース」としてこの舞
台に立っているが、今回は正真正銘の「独演会」
である。2部ではギタリスト中村信吾もフィー
チュアーして新しい趣向を披露することになって
いる。気合が乗らない訳がないのだ。
 それに加えて今年の春にはCD「巌流島うた絵
巻」を出して、NHK・TV宮本武蔵で賑わう北
九州市に花を添えている。佐々木小次郎と対決し
た巌流島は門司港から目の前に浮かんでいる。
 武蔵は小倉城には大変に縁の深い剣豪なところ
から、市内のあちこちで「宮本武蔵展」が展開さ
れている。とう訳で、巌流島CD発売~独演会と
グッドタイミングなのだ。
 客席に350の椅子が並べられた。主催者ビッグ
ベアーズの社員たちが目立ちはじめ、サウンドチ
ェックも終わった。PAの矢野さんは三年前もオペ
レーションしてくれた人で、北九州随一の技術を
持っていると評判の高い人である。
 エルビス吉川がマネージャーと会場入りした。
さっそく楽屋で国本と再会を楽しんで、明日上陸
予定の姫島の「海老のおどり食い」の話しが出て
盛り上がる。今日は1部と2部のあいだで円熟の
エルビスショーを披露してくれる。こちらも気合
充分だ。
 18:30分開演のベルが鳴った。
 魚本ビッグベアーズ社長のご挨拶が始まった。
三年前、寿ブラザースのときよりも格段に落ちつ
いたトークでそつがない。社長をつかまえて落ち
ついたもないが、350人もの観客を前にして一言
ひとこときちんと話せる人はざらにはいない。
この三年間の社長自身の充実ぶりが垣間見えるよ
うだ。
 いよいよ国本武春出陣! 
 
 「さーさ皆さん!」
 「待ってましたァ!」
 「たっぷり!」
 「日本一!」

 場内割れんばかりの大きな声が通る。


*大成功! 立見も出た客入り
 
 このツアーの成否は、とにかくも国本武春独演
会の成功なしではありえないのだ。
 何たって独演会のあがりにツアーメンバー全員
がぶら下がっているという恐ろしい実体がある。
 しかもすでに気の早い主催者たちは企画の段階
で打ち上げから旅館の手配、果ては大分フェスで
食べるバーベキューの肉の量までオーダーしてし
まった。こういうノリは悪い訳はないけど、慣れ
ないと早合点になりはしないかと怖くて神経とか
心臓方面によくない。P7260006(2)s.jpg 
 つまり、すべてが丸くおさまるためには独演会
の入場チケットが主催者の思惑通りに売れてくれ
なければならないのだ。
 そこでビッグベアーズをはじめ、ハマグラ-、
ドゥ・フォーユーの下田さん、そしてエルビス吉
川の親派などたくさんの国本を応援してくれる人
たちが輪になって、大セールスマンとなって目い
っぱいチケットを売って売りまくってくれた。
 そのおかげで独演会の1週間前には何と350枚は
見えました「満員です」というメールをエルビス
からいただいた。

 続いて「これで失敗はありえない」と書かれた
メール画面を見て、私も「これで安心」と思うと
同時に、遠くから制作のお手伝いをしてきた者と
して北九州の協力者たちの有難さが身に沁みた。
 なのに、今日の本番の客入りを見るとすでに超
満員で、立ち見客がかなり溢れている。なんとい
うことだ、これでは大宴会だ!
 客席係に聞くと「大体ですが400人は越えてま
す」と汗を流してこたえてくれた。
 その400人を超えるお客さんが国本の芸に酔い
しれて、後ろから見ると感激や感動で胸が一杯に
なったお客さんが大きな波のように揺れているで
はないか。
 刃傷松の廊下~浅野匠守切腹お別れのくだりで
は場内の空気がピーンと引き締まり、ほとんどの
お客さまがハンカチで目頭を押さえていた。
 後半、宮本武蔵と佐々木小次郎が戦う様子を歌
った「巌流島うた絵巻」をうなる頃になると国本
も今日最高の気合が入って、眼光鋭く没頭するそ
の姿にはまさに武蔵が乗り移っていた。
 「小次郎、覚悟ォ」ばりばりばりバーン。
 私なんか舞台の袖にいて、バチが折れるんじゃ
ないかと心配でハラハラもんだった。
 そのまま怒濤のごとく乗りまくって、アンコー
ル「海峡音頭」になだれ込み、会場一体となって、
大成功のうちに独演会を締めたのだった。



*アメリカ・ブルーグラス留学
 
 またやりましょう。
 いったい何のことかといえば「国本武春独演会」
をまたやろうぜ!ということなのだ。
 といっても当の国本は9月12日からアメリカの大
学へ1年間留学することに決まってるから、たぶ
ん2年近くは待たなければならないだろう。
 何の留学なのか、というとこれがまた泣かせる
ではないか。イーストテネシー州立大学でブルー
グラスとマンドリンを基礎からやり直してみるん
だというのである。エライ!P7250027(2)s.jpg
 金髪白肌娘探検旅行ではないところがエライで
はないか。私にはとっても真似が出来ません。
 イーストテネシー大学には、聞いたところでは
ジャック・タットル先生といっていまをときめく
バンジョーマン、ベラ・フレックのお師匠さんが
ブルーグラス講座で教えているそうだ。
 そこのOBにはものすごーく売れっ子のマンド
リン弾きアダム・ステッフィーがいるという。
 国本はそこに来年の5月まで勉強しながらキャ
ンパス生活をしたあと、6月、7月、8月とフェ
スなどに武者修行に出たあと帰国するという。
 だから帰ってからすぐに独演会を立ち上げても
今年中はどうもバタバタしてしまいそうだ。やっ
ぱり来年じっくり腰据えてやろうと結論が出た。



*1年後のお楽しみだよ

 国本に果たしてどんな新しい芸が生まれたか、
来年が待ち遠しい。
 それにしても、だ。芸人の中でもその芸域にと
どまらず、ブルーグラス、ロック、ブルース、フ
ォークを取り込んだ国本ワールドで大人気独走中
の国本が、1年間、芸活動を中止して外国に出か
けるなんてちょっと不思議。なーんでだ。
 「一つの芸にしがみついてやって行きたくない。
可能性を追求する前に、原点に帰ってマンドリン
とブルーグラスを正式に習いたかった」という。
 素晴しい。
 

*花形演芸大賞

 もう少し国本のことを書くと今年、東京の三宅
坂にある国立演芸場主催の花形演芸大賞に見事選
ばれている。98年以来2度目の受賞である。
 表彰式の行われた6月23日、国立演芸場で6月特
別企画公演「花形演芸会スペシャル受賞者の会」
が併せて開かれた。
 漫才爆笑問題の司会で進められたこの日の会は
銀賞に落語の三遊亭竜楽、金賞には今や大人気コ
ントチームのテツand トモ、そして大賞に我らが
国本武春とそれぞれがめでたく受賞した。
 受賞した芸人のために国立演芸場がわざわざ会
を主催して各界のリーダーにご披露するというも
のであるから、大変に名誉なものである。
 国立演芸場といえば日本の伝統芸能の殿堂であ
る。芸を極めた達人から若手芸人までが出演出来
るところであっても、誰でも出演可能というわけ
ではない。演芸場側が選択した芸人に限られて出
場し、その中から年間の大賞を選ぶというシステ
ムになっている。
 そのような中での大賞受賞である。今回の受賞
理由は「忠臣蔵でのポップな討ち入り描写」が評
価されたと伝えられているが、忠臣蔵はかなりロ
ック色の強いバラード・ローキョクになっている。
 たしかにポップな討ち入り描写には間違いはな
く、そのうえいままで誰もこのような表現をした
者はいない、という新しさに選考委員が注目した
のだろうか。
 いよいよ国本武春時代到来の証明がこの大賞な
のであろう。
 そういえば金賞のテツandトモにしてもフォー
クギターなんか持っちゃって、テンポも早くてど
こか新しいコントチームに見える。
 まあともかくも、こんなに乗りにのってる国本
が、よりによって1年間外国暮らしをしなくたっ
ていいじゃねーかというのが、普通の人たち大半
のご意見であろう。
 しかし、およそ5年前、ケンタッキーのビル・
モンローのお墓までお参りに行ってる国本にとっ
ては「ブルーグラス修行」こそがいま最も大切な
ことであって、まさに国本らしいところである。
 「漢字ばかりの芸にこだわってたら皆さんに置
いて行かれる」といつも話す国本のこれからに期
待しないではいられない。
 ちなみに国本の趣味のひとつに「お墓参り」が
ある。


*食い倒れツアー

 さてふっくらツアーである。
 私たちツアーメンバーは、北九州入りして間も
なく、飲む食う食う飲む食う寝るまた食う食うば
か笑い飲む食う食うの連続で、もうふっくらなん
てとんでもなく、食い倒れ間違いなし体重10?増
量の保証をもらったようなツアーになっていた。
 「すいませんけどぉ、もう、食べられないわ。
およしになって!」ともだえてもお断りしても容
赦なく目の前にほっかほっかの空揚げがドカンと
出て來てしまうのだ。
 このツアー中、食べる鬼と化している中村信吾
が真っ先にガブッとやって「旨い!」と天に向か
って吠えた。
 たちまち六台の車からぱらぱら降りたメンバー
が、密にむらがるアリのように空揚げにわっせわ
っせと食らいつくのだった。
 この辺では、といってもここがどこだかジェン
ジェン分からない。しかし道端で空揚げを売って
るのだ。関東だったらスイカとか果物が主流を占
めるけど、ここでは鶏の空揚げ屋台が大きな看板
や旗をかざして道端に堂々と鎮座している。所変
わればの感であるが、これがまたすごーく旨い。
 私たちは大分県の国東半島(くにさきはんとう)
の沖、姫島を目ざして、今朝10時に小倉のホテル
を出発していた。さあ昼飯だといって、実はさっ
き大きな中華屋さんに入って餃子とラーメン、
「オレ炒飯にラーメン」なーんてどんどん注文し
てしっかり食っちゃっているんです。それなのに
もう空揚げを食っている。こういうのってどうな
るの?中年腹太脂肪男には本格的に食べ過ぎじゃ
ないやろか。
 

*打上げ名手ぞろいの九州人

 そういえば昨日の打上げも凄かった。エルビス
の高校の先輩がやってる限りなく本格割烹料理屋
に近い居酒屋さんには、総勢60人くらいの関係者
が集合、ド迫力の大打上げとなった。
 一人¥2,000で飲み放題とエルビスが決めたらし
いが、それにしたってこれだけの男女が集まると
は信じられない光景である。
 集合時間に少し遅れて国本、中村慎吾、私が打
ち上げ会場に到着したら、とたんに「ワーッ」と
大歓声が起こった。オッオッ何だなんだどうした
んだといいながら席に着くや、マル北青果の渡辺
一生さんをはじめハマグラーの連中が冷やした日
本酒を注ぎはじめた。
 もう大概の人は早くも酔っていて、大きな声を
出して自分を乗せてるのだ。九州人は宴会上手だ
とよく聞くが、正にである。
 エルビス・グラスの高畑くんは両耳に割り箸を
はさんでお酒を注ぎまわり、完全な宴会部長にな
ってる。P7260029(2)s.jpg
 九州電工社員、そしてエルビス・グラスのマン
ドリン・プレイヤー中村繁登さんはデジカメ男に
なりきって、私の鼻毛まで撮る迫力だ。「今回は
撮らしてもらうけん」と人をかき分けた。
 「アナゴの刺身を是非食べさせたかったのに、
店主が全部蒲焼きにした」とミスターアウトドア
マンがくやしがった。彼は今日のために特別に生
きたアナゴを手配したのだったが、最後に手違い
が起きた。「オレのこだわりを分かってない」と
くやしくて仕方のない様子。

 しかし、目の前には海の幸、つまりあの有名な
玄界灘の魚貝類が大皿小皿に盛り付けられ所狭し
と並んでる。魚好きには「こたえられね~」。
 国本&信吾の食い倒しコンビも快調!「今日は
徹底的にいくもんね」と目が釣り上がる。


*離島「姫島」

 食い過ぎて体の不調を訴えたってアンタ、まだ
旅は始まったばかり、「しっかりせんかい!」と
誰かに注意されるだろうなと考えていたら、なー
んてことはなくすべて私の胃が難なく消化しちゃ
った。空気が良く景色が広い、仲間がいる、消化
酵素もここぞって感じで働きだしたのだろう。
 旅は疲れた頭や身体にはどんな薬よりもよく効
くのではなかろうか、とぼんやりしてたら姫島行
きの真っ白いフェリーが着いた。島の人々が降り
て替わりに私たち一行が乗った。それぞれに楽器
らしき黒いケースなどを持ってるためか、じろじ
ろと見られて照れくさい。P7270036(2)s.jpg
 「黒いケースだから、中に何が入ってるのか見
たいだろうね」ギャングだったら軽機関銃なんか
が入っているし、手品師だったら鳩が10羽くらい
入っていたりして。
 「出して聞かせてみようか」と誰かがいったら、
 「島まで10分で着くけん時間なか」だって。
 どんよりと重たい雲がいまにも手が届きそうだ。
晴れたら向こうに四国が見えるのだそうだ。思え
ば遠くに来たもんだ。

 「樽見さんご夫婦が合流しました」と中村繁登
さんが教えてくれた。樽見さんは久留米在住の獣
医で毎日乳牛の管理してる人だ。バンド「メンフ
ィス」「エルビス・グラス」のバンジョーマンで
もある。昨日の独演会には姿を見せなかったので
今日久留米から走って来たのだろう。
 「着いたあ!」
 小さな港には割烹着の似合う若奥様風のお姉さ
んが軽トラックで迎えに来ていた。
 こちらの人相が悪かったのかいくぶん緊張して
 「ペンション紫はこちらです」。


*果たして釣果は?

 紫だなあと思って歩いてたらそこが「ペンショ
ン紫」だった。外壁全体が紫色に塗られているか
らすぐに分かるとは聞いてはいたけど、本当にす
ぐ分かった。港からぞろぞろと歩いて10分、ちょ
うど反対側のやはり港の目の前に平家建ての目ざ
す今晩の宿があった。
 「いらっしゃい」と生きのいいおばさんたち5
~6人がニコニコ笑顔で出迎えてくれたが、そそ
くさと調理場へ取って返して料理にかかっている。
忙しそうだ。素朴で人なつっこい笑顔がチャーミ
ングな彼女たちの前に、タコが並べられている。
姫島はタコ漁も盛んなのだろうか。
 ここは今晩私たちの貸切になってる。大広間に
頭を並べて雑魚寝大会、早く寝た者勝ちという風
雲漂う状況である。イビキが怖いのだ。これだけ
の所帯だ、誰がイビキの大家なのか皆目分からな
い。じゃあどうしようか、なーんて考えていたら
「僕って凄いのよ」と信吾。いわれたときには遅
かった。すでに隣にくつろいで、うちわをあおっ
てるではないか。
 早くもビールをはさんで飲み始めた者がいる。
旅は酔うべし食べるべし結構ではないか。何がお
かしいのかお互いに向かい合って、げらげら笑い
ながらグイッとやり、バタピーを口に放り込んで
いる。
 ペンションの目の前にぱあーっと広がる海へ出
た。もちろん釣り竿、えさを持って「大物だべ」
と心にイメージしている。
 釣れそうな防波堤に着いた。一番海の方へ突き
出た長い防波堤で、その先端部分でさっそく糸を
垂らした。姫島で竿を出すというイメージはもう
この話が決まったときからあった。正にいまがそ
のときだ。身体中に満足感が広がった。
 大海原をながめる。だんだんと精神や神経が解
放されていく。一人だったら「あ~あ~」とタ
ーザンのように吠えたかった。
 雨がやんで水平線のあたりには薄く陽がさして
るのが見える。静かだ。聞こえるのは防波堤に当
たる小さな波のちゃぶちゃぶ音だけ。岬のような
でっぱりに神社の鳥居が見える。その上をトンビ
がぐるぐる回ってる。遠くに漁船が小さく見える。
 「釣れた!」と声がした。仙台からただ独り参
加した阿部さんが得意満面の笑顔で、本日第1号
を釣り上げた。
 小さいけどよく引くんだと感想を話すが、それ
にしても小さい。「小さいけどよく釣れたなあ」
と、心にもないことをいう。礼儀なのだ。
 「釣れた!」こんどはビッグベアーズの専務が
声を出した。見るとやっぱり小さい。名前も知ら
ない小物だ。よくもこんな小さい魚を釣るもんだ
と心でののしりながらも「凄いねえ」と誉めた。
 「やーやー、釣れてる?」国本が竿を持って登
場した。「こういうものは気合だ」とばかりポー
ズを作ったが、果たしてどうか。
 「釣れた!」また阿部だ。今度はなにやら少し
形が大きい。釣れて当然、私のウデならという顔
をしてるではないか。しかしどうしてだ、私には
一回の当たりも来ないではないか。「一回くらい
引いてくれーッ」
 この日釣果のなかったのは私と国本だった。私
の場合、引きがあって「それっ」と竿を立てても
エサだけが消えていて釣れないのである。
 もうかなり暗くなった。もうダメだとあきらめ
て帰ろうと決めたとき、「ピクピク」と竿先に小
さな当たりがきた。引き上げたらお腹が白くて丸
っこい小さな熱帯魚のような魚が釣れてきた。
 「やったー」と心の中でガッツポーズをしてい
ると、誰かが「触らないで!」と叫んだ。お腹と
背中から出ているトゲに毒があって、刺されたら
大変なことになるらしいのだ。これじゃ、釣果と
はいえないのだ。
 姫島の防波堤はあくまでも厳しかった。


*姫島は伝統的夜ばいの島

「今日は昨日の本打上げです」とエルビスがご挨
拶をして宴会がスタートした。
 主賓国本も姫島名物「海老の踊り食い」にかぶ
りつき、目尻を下げている。目の前には宿のおば
さんたちが作った魚料理のオンパレードが並んで
いる。今晩もたらふく食べないともったいない。
 バディーズの黒川バンジョーマンがそっと席を
立った。彼は平静を装って海老の傍を離れたのだ。
 海老が嫌いな人は少なくないと思うが、彼の場
合は子どもの頃、お兄さんとザリガニを捕りに行
ったら手を挟まれてしまい、そいつをぶらさげた
まま家まで帰ったのが原因で海老が嫌いになった
そうだ。ついでにいえばカニも嫌いで食べられな
い。じゃあハサミが嫌いなんでしょという人がい
るけど、実はトマトも嫌いなのだ。つまるところ
赤いもの全般的に嫌いなのかも知れない。
 ビッグベアーズ専務が寿司を握り始めた。彼の
前職はお寿司屋さんと聞いたときは驚いたが、な
る程寿司屋の貫禄たっぷりで、畳にどっかりあぐ
らをかいて目の前に並べられた生き海老をスッス
ッと鮮やかに握っている。ときどき「パクッ」っ
と自分の口に放り込むことも忘れない。
 宴もたけなわの頃、シロード・若菜・クロアリ
氏がおもむろに愛用のギターを取り出した。彼の
前にはいつの間にか宿のおばちゃんたちがきちん
と座ってる。
 夕方前、「ギターを聞かしちゃる」と約束して
たとシロードは恥ずかしそうにいった。やがてク
ラシックギターの妙なる調べが始まり、ペンショ
ン紫の宴会場はスペインのアンダルシア~地中海
のリゾートホテルに変わった。
 おばちゃんたちは1曲が終わると我を忘れてシ
ロードに触りたがった。頬をぽっと赤くにじませ、
目は「星目」でウルウル状態。完全にギターのと
りこになっている。
 「アランフェス協奏曲」が始まった。シロード
の必殺技である。この曲でうら若い女性を何人も
失神させている。うっとり、おばちゃんたちは酔
ってる。ここは姫島、夜ばいの本場だ。
 「若菜さん、今晩寝かしてもらえないよ」
 
 バディーズの守屋マンドリンマンがキャスティ
ング・ロッドを組み立てた。
 夜釣りに行くのだ。

*大分飯田高原ブルーグラスフェステイバル

 大分フェスは何とワンダフルで快適だっただろ
うか。想像をはるかに超える雄大な絶景!
 おそらくは日本のブルーグラスフェスでもこの
ように風光明媚なロケーションは二つとないので
はないか。ステージまわりも整備され、加えて設
備の良いバンガローは大きな魅力となる。
 全国のフェスター=フェスマニア諸君、大分フ
ェスに来ないでフェスは語れません!
 さて、今日は26日土曜日。ドピーカンの青空と
太陽、昨日までの大雨はウソみたいだ。絶好のフ
ェスびよりの中、1台また1台とお客様が到着し
ている。
 私たちもそれぞれの宿舎に荷物を置いて自分の
居場所を探す。バディーズは今晩の出演に向けて
練習を始めた。海宝弘之も愛用のギターを抱えて
練習に出かけた。
 海宝は東京の「ウィルビー」というブルーグラ
ス・バンドのギター&ボーカルだ。今日はバンジ
ョーに鹿児島の内田さん、ベースに福岡の遠藤さ
ん、そして長野から東京組と一緒に飛んで来たマ
ンドリンの谷口という寄せ集めメンバーでエント
リーしている。だから練習は絶対に必要で、海宝
は昨日の夜あたりから少しナーバスになっていた。
 主催者の一人、上尾さんに会った。すぐに国本
を紹介する。
 上尾さんは仕事で東京の東大和市に長期出張で
来ていた。ある日、今日出演のマンドリン谷口が
我家で飲むとき、「ギターの上尾くんです」とい
って連れて来たのが初対面だった。
 メリルギターの入った大きな黒いケースと沢山
の缶ビールを持ってやって来たのだった。
 「えーっ、CDじゃなかったの?」と驚いたの
は我家のオカミさん。上尾さんがパラパラとご挨
拶代わりにメリルギターを弾いたのをキッチンで
聞いていて、料理を運んで来たら、実際に弾いて
る人がいたので声が出たらしい。私も谷口も同様
であまりにも素晴しい弾きに「......」声も出な
かった。
 上尾さんとはこんな出会いだった。



*焼肉食べ放題箱は1,000円なり

 食べる方はフェス会場の受付の真向かいにビッ
グベアーズのパネルバンのトラックがどんと置か
れ、その横にテーブルとイスが並び、ここがツア
ーメンバーの食事処となっていた。毎年の定位置
「北九州エリア」と呼ばれ親しまれているそうだ。
 頭にねじり鉢巻と威勢のいい魚本社長がカレー
の大鍋を柄の長いお玉でかきまわしている。横顔
が夕陽に照らされて渋くていい感じ。これで頭に
テンガロンハットを乗せたら夕陽のガンマンだ。
 同じ北九州エリアの焼肉コーナーでは、博多の
「徳田スペシャル」のベースマン遠藤さんが運ん
で来た12キロの肉がジュージューと音を立てて焼
かれている。ここでも国本・信吾の「食い倒しブ
ラザー」は脇目もふらず大きな肉にかぶりついて
いた。「さっきここへ来る途中で胃薬を買った」
と食いっぷりに拍車がかかっているようだ。 
 その傍では釣り名人安部が鹿児島焼酎「阪神タ
イガース」の水割りを作ってサービスしている。
「いやー、いい気分だ。カレーもいけるよ」とい
いつつ焼酎水割りを差し出した。「本当は日本酒
の方がいいんだけど」というのを忘れない。P7260017(2)s.jpg
 彼は日本酒の大家で「仙台の阿部」はマニアの
間でも一目置かれている存在だという。「以前は
ビル・モンローのマニアだったけどいつの間にか
日本酒に変わった」とか。エルビスの後輩。
 関西からゲスト出演するアンドレ佐藤と谷村が
エリア内の権利箱に1,000円を入れて焼肉を食い
はじめた。片手には焼酎阪神タイガース。旨そう
だ。ピカイチ・ドブロプレイヤーのアンドレは強
烈なタイガースファンで、いつ楽器弾いてるのか
分からないくらいだけど、ドブロだけは超上手く
なった珍しい人だ。

 今年はぶっちぎりの優勝だねと声をかけたら、
「今年は大丈夫やろ」と目を細めた。
 マンドリン谷村は地味いな存在とは反対にプレ
イは目がさめるほど凄い。アンドレと「フレンズ
・アンド・ネイバーズ」というバンドを組んでい
る。
 風向きが変わりバーベキューの匂いがあちこち
からどっと押し寄せて来た。そういえば会場のい
たるところで焼肉パーティーが始まっている。
 フェスたけなわになりつつある。


*「ジャンゴは気持ちいい」
        と鹿児島の内田さん


 宿舎は箱根フェスのバンガローとはかけ離れた
綺麗さ。バンガローというよりもログキャビンで
はなかろうか。
 私たちの部屋は中にロフトがあって5人が窮屈
なく寝れた。シャワールームに洗面所がきっちり
設備されていて、これに清潔な洋式トイレ付きと
くればもういうことなしであろう。シャワールー
ムにはシャンプー、リンスもきちんと揃っていて、
ホテルみたい。「これってマジ?」なーんちゃっ
て。もちろんキッチンもある。
 そういえばコタツもあったな。1バンドでこの
ログキャビンをキープしたら充分快適過ぎて帰れ
なくなりそう。
 午後6時。
 右傾斜の芝の地面をよろよろと歩いてると鹿児
島の内田さんにばったり出会った。昼前に鹿児島
から車で吹っ飛ばして来たそうだ。
 今回は海宝バンドのメンバーで出演することに
なっているが、すでに練習を済ませたそうだ。
 彼とは1年前、エルビスの結婚式で出会った。
きれいにロールする優雅なバンジョーを弾くので
印象に残った。若くて形のいい青年である。
「今はジャンゴに凝ってて、毎日そればっかり弾
いてる」「気持ちいい?」「うん、かなり」と短
い会話をかわした。


*国本武春「大分フェス」初登場!

 夢弦堂主人、西貝が北九州エリアで焼酎を飲ん
でいた。フェス会場の外はもう真っ暗に近い。
 「このイモの香りが何ともいいんだよね」
 「やっぱり本場の焼酎は違う!」とうっとり。
 私がここに持ってきたギターも夢弦堂製ドレッ
ドノートだが、これを持ってあちこちのフェスへ
行くと触られたり撫でられたり引っかかれたりい
つも大人気になる。マーティンとは明らかに違う
音がするが、どこのフレットで弾いてもビッグト
ーンでとても気に入ってる。その制作者が西貝で
私とは40年くらいのお友達。昔から物を作ったり
組み立てたりするのが好きだったが、ついに楽器
の制作者になった。
 ギター、バンジョー、マンドリン、ウクレレ、
など一年中忙しく作っている。
 なにやらステージ前が騒がしいと思ったら、国
本武春のスペシャル・ブルーグラス・ステージが
始まっていた。三味線で弾く「フォギーマウンテ
ン・スペシャル」も快調に受けている。
 さっきたっぷり食べた焼肉エネルギーが国本の
パワーを押し上げているようだ。
 「俺の行く先はドコ~」で始まるHOBOが始
まった。ゴキゲンなロックンロール・ビートに乗
って「あてもない旅行くよHOBO(方々)」と
国本が歌えばギターの信吾はもっと乗せる。「金
もないから、髪はボウボウ」落ちがついた。
 国本と信吾は明日、大分市内での出演が待って
いる。国本を知っていると本人がいうおばさんか
ら「北九州まで来られると聞いたので是非」にと
頼まれたらしい。
 アンコールがきた。
 「じゃあ、ブギウギだ!」
 ほとけの顔も三度でおわりだ~と軽快に始まっ
って、「熱くなろうぜ!」「踊ろうぜ!」イエー
ッ、お客も大きな声で乗ってる。ベリーグッド!
 「熱けりゃ、パンツ脱いでもいいよッ」
 今度はレイ・チャールスばりにお客と掛け合い
だ。「ヘーイ、へ~イ」「シャワドゥビドゥビシ
ャワ」「へ~イ、ヘエイ」~
堪忍袋の緒が切れちまったーで、エンディング。
 拍手喝采!


*バディーズ・デビュー
 「いやー、キツイ!」
 メンフィスとエルビスグラス、そしてエルビス
吉川と三つのバンドをこなして汗びっしょりのエ
ルビス、さすがにやり過ぎた様子。
 「さあ、いまから飲もう!」
 「そうだ、そうだ!」
 といいながらステージを降り、ガヤガヤと闇に
消えた。エルビスとバンドの皆は演奏や歌の乱れ
を恐れて、アルコールをセーブしていたらしい。
 「エッ?」
 
 ステージの投光器が東京の「バディーズ」の4
人を照らした。いくぶん緊張気味の顔が長いブラ
ンクを物語っている。かつて70年代のブルーグラ
スシーンを駆け巡ったツワモノたちが戻ってきて、
本日この舞台がデビューなのだ。P7260013(2)s.jpg
 山口さとし、黒川晴夫、守屋憲二、下村哲とい
う仲良し4人組が目ざす音楽スタイルは、想像す
るにディキシー・チックスのような、いま誰もが
親しめてしかもインパクトの強いものだ。それに
「オシャレスパイス」をふりかければもう完璧、
パーフェクト。あくまでも目標だからね。
 「キャロライナ・イン・ザ・パイン」が始まっ
た。始まってすぐにメンバーが極度の緊張に襲わ
れてしまったらしく、パワーもキレもまったく出
ていない。同じ仲間としての私の心配は山のよう
に膨れ上がった。このまま最後の曲までたどり着
けるのかと思っていると2曲目の「川を下って」
は平均点の出来で、一安心。ジョン・ハートフォ
ードがあこがれた川の生活風景がちょっぴり出て
いた。ケンジの味のあるボーカルがいい。

 しかし、およそ30年のブランクは想像以上にメ
ンバーを苦しめている。リードボーカルもコーラ
スも自分達がイメージしたものより半分以下の結
果となっていて、乗って楽しむところまではとて
もとても及ばない。
 楽器もうまくコントロール出来てないようだ。
サイモン&ガーファンクルの「コダクローム」と
ディキシー・チックスの「トラベリング・ソルジ
ャー」は早い曲、スロー曲と並んだが、楽器の側
から見ると両曲とも音量的に厳しい結果だった。
つまり、すべてに練習不足が覆いかぶさっている。
 

*おじさんは忙しいのだ

 楽器に関してはほとんどが自己練習で決まって
るけど、それが結構難しい。仕事を持つどこのお
じさんも忙しい盛りで、なかなか楽器に向かう気
持ちになれないのが普通である。あるいは家でお
かあちゃんに邪魔されて楽器を弾けない人もいる
かも知れない。
 しかし、何とか少ない時間を楽器に振り分けて、
そのうえ昔は確かにあった向上心を取り戻してい
ただいて自己練習を繰り返し、感覚と自信を取り
戻さなければならない。そうしなければ次への展
開が開けないのだ。楽器を弾くことによって歌や
コーラスやリズムにも好影響が出ることは必至で、
ここでようやくメンバーが集まった練習にまとま
りが見えて、いわゆるバンドの音が出るのだ。P7260015(2)s.jpg
 最後に若いジョッシュ・ウィリアムスが歌って
評判になった「目には目を」が始まった。原題は
「AN EYE FOR EYE」。曲の前に
リードボーカルの山口が「過って他人の子どもを
殺してしまった歌です」と説明してから入った。
そのせいかお客さんたちも気持ちを入れたように
見えて、ステージの周りにそれまでになかったい
い雰囲気、一体感的なものが生まれてとても良か
った。曲全体もよくまとまって最後の曲にふさわ
しかった。出来るのだ!

 ポテンシャルはあるのだ。



*森光君・大牟田君・ハッチャリーズ

 フェス2日目の朝。8時頃か、外を見ると、
「やったー!」今日も快晴だ。もぞもぞと隣のフ
トンが動いたと思ったら、山口と守屋が起きた。
「よく眠れたかい?」と聞けば、「ゲロゲロ」と
いう。二人とも強烈な睡眠だったらしい。
 「今朝のおめざ、お紅茶なんぞいかが?」なー
んて声が掛からないか、よね。P7260017(2)s.jpg
 ロッジを出て会場を歩いてたら珍しい人に出会
った。日大「サンズ・オブ・ホーボーズ」のOB
森光くんと同 ”相撲スペシャル "の大牟田くんだ。
 相変わらずの迫力顔に圧倒されるが、およそ20
年ぶりの再会である。「そうか、ここに来れば君
たちに会えるのね。うわー、久しぶりだ」。
 「昨日の夜のステージ、ちゃんと見てくれた?」
といきなり難問をふっかけてきた。
 「見たよ。コーラスがよかった」と答えたらど
うやら当ったらしく、「そうだろ、いけそうだろ」
とえらく機嫌がよくなった。

 「ハッチャリーズ」と粋な名前を付けた森光バ
ンドにはえらく自信があるという。東京でやりた
い、東京でやってみたいとしきりにいう森光くん
の目は、きらきらとお星さまのように輝いていた。
 NHKの「おやじバンド合戦に出て選ばれたん
だ」と堂々胸を張って教えてくれた。
 大牟田くんはかつて「サンズ・オブ・ホーボー
ズ・相撲スペシャル」のギター&ボーカルで大活
躍した人物で、当時を知る東京のブルーグラスフ
ァンには伝説になっている。大牟田くんというの
は通り名で本名は樋口孝介。樋口よりも出身地の
「オームタ」がいいと決まったのかも知れない。
 いまは自分のバンドは持ってないけど、ちょこ
ちょこ遊ばせてもらってる、がはははと笑った。
 つかの間のブルーグラス同級会。


*やまなみ温泉牧場

 10時前、国本と信吾が大牟田市内での仕事に
行くためフェス会場を後にした。昨日の10数キロ
の焼肉が効いたようで今朝からパワー全開のよう
で、目に力があった。P7270039(2)s.jpg
 「道中、特に明日の東京までのドライブはかな
りご注意だよ」といって別れた。このツアーのご
主人様とバイバイしたのだから、ツアーも大詰め
だ。と思うと気分的にスキ間が出来たみたいに淋
しくなってしかたがない。「うん、こういうのは
後引くもんだ。エルビスにお願いして毎年やろう」
と秘かに勝手に決めたら淋しさも飛んで行った。
 と思ってたら「やまなみ温泉牧場」に着いてい
た。私たち一行はフェス会場でお世話になったス
タッフと記念写真をパチリとやって、そのあとこ
のヤギや牛が放牧されてる温泉場になだれこんだ

のだった。「温泉にゆっくり入って、それから焼
肉を食べましょう」と今朝も早くエルビスはいっ
た。「焼肉?結構、結構。大好き」昨日の焼肉三
昧を忘れたかのように反応してやってきたのだ。
 まずは温泉にどぶんしようと決まった。受付に
行くと野良仕事からいま帰って来たようなおばあ
ちゃんが、手ぬぐいをかぶって忙しく説明してい
る。何でもこの連日の雨で源泉に水が混じってし
まい、「温泉がぬるい」のだそうだ。
 「本当だ。これはお湯じゃない」とそそくさと
あったかい内湯に避難したのは役者の海宝。つら
れて出ようかなと決めかねているところに「ぬる
くなっても効能は同じだと思う」と声が掛かった。
その昔、ジューンアップル誌上で「正しい立ち方」
という音楽からかけ離れた評論を展開して人気の
あった仙台の阿部が、形よく露天風呂にすわりな
がら「ぽかぽかして来た」と続けていった。
 私はとりあえず阿部を信じてこのまま「あった
まる派」になった。エルビスもどうやら我が派に
属したようで「ようけ雨が降りよって」と超ぬる
い湯に短い足を投げ出して漬かっている。テツが
露天風呂をぐるっと囲んだごろごろした岩の上に
座った。まるで「2001年宇宙の旅」のファースト
シーンを見ているようだった。テツには悪いがあ
の無気味な黒い野猿の群れに、ふっとオーバーラ
ップしながらぼんやりしていた。

               ササキ・ジン

                  オ・ワ・リ







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    Rocking' Chair
    収録曲
    1.Country blues
    2.Wall ofTime
    3.Banks of The Ohio
    4. Any Old Time
    5. Crazy
    6. I’m Coming Back But I Don’tKnow When
    7. I’ll See You in My Dreams
    8. Put Me On The Trail to Carolina
    9. No9 Train
    10. Warp your Troubles In Dreams
    11. Lullaby In Ragtime
    12. Rockin’ Chair
    12. When I’m Gone

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    Take Me In Your Lifeboat
    /The Blueside of Lonesome


    1.How Mountain Girls Can Love
    2.Blue Ridge Cabin Home
    3.Kentucky Waltz
    4.Let Him Go On Mama
    5.It's Mighty Dark To Travel
    6.Take Me In Your Lifeboat
    7.My Oklahoma
    メンバー:
    Yoshie Sakamoto / Vocal
    Masuo Sasabe / Guitar, Vocal
    Yasuhisa Kato / Mandolin, Vocal
    Ryukichi Hayakawa / Banjo, Vocal
    Hiromu Teshima / Fiddle, Vocal
    Akihide Teshima / Bass

    制作:The Blueside ob Lonesome
    技術:Ryukichi Hayakawa, Hiromu Teshima
    デザイン&絵:Ashura Benimaru Itoh

    リルコミの紹介
    ----------
    130320IMG.jpg
    SOMEDAY/Yoshie Sakamoto
    1. My Shoes Keep Walking Back To You
    2. Someday
    3. Till A Tear Becomes A Rose
    4. Here Comes My Baby Back Again
    5. If My Heart Had Windows
    6. Blue Kentucky Girl
    7. I'll Take Care Of You
    8. You Take Me For Granted
    9. Under Your Spell Again
    10. In The Garden
    11. You Ain't Woman Enough
    12. We Must Have Been Out Of Our Mind(Duet with Takaaki Sakamoto)
    13. We'll Meet Again

    CDの購入はメールでこちらへMAIL
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    坂本愛江の HP


    ----------
    IT'S A CRYING TIME


    Banjo-Eiichi Shimizu
    Guitar-SatoshiYamaguchi
    Mandolin-Kazuyoshi Ohnishi
    Bass-Akira Katsumi
    Fiddle-Morishige & Takada
    売価 ¥1980
    お問い合せ
    ビーオーエムサービス
    ●解説のリルコミ
    「IT'S A CRYING TIME」CDで復活!リルコミだあ

    ----------
    A New Peace Within / LEONA 111022.jpg

    1. A New Peace Within
    2. International Date Line
    3. Little Cabin Home on the Hill
    4. Endless Summer
    5. Close By
    6. Roly Poly
    7. Cherokee Shuffle
    8. Life's Inspiration
    9. Gypsy Spin
    10. Shade's of Blue
    11. Nobody's Love is Like Mine
    12. Soldier's Joy
    ●解説のリルコミ
    本日は臨時号です!リルコミだあ
    オフィシャルHP
    ----------
    「Hello, Old Friend」 cd_tq1.gif

    Tequila Circuit/Hello, Old Friend
    定価¥2,500
    ●CDのHP
    ●解説のリルコミ
    /テキーラ・サーキットのnew CDだよのリルコミで~す

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